iDeCo(イデコ)と積立NISA(ニーサ)はどっちが良いの?まずはiDeCo(イデコ)がおすすめな理由

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まずはiDeCo (イデコ)をはじめるのがおすすめ

積立NISA(ニーサ)とiDeCo(イデコ)は、毎月の積立を通して、資産形成を行う方法のひとつです。iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金の略称で、新NISA(ニーサ)と同様に、株式の運用益が非課税になる制度です。

NISA(ニーサ)と比較した場合、iDeCo(イデコ)には、所得控除メリットに加えて、元本確保型の商品が用意されています。この点が、まずは少額からでも、iDeCo(イデコ)の検討をおすすめする理由です。

ただし、受給開始タイミングのルールや、運用益以外での税金が発生する可能性について、留意が必要です。それぞれ見ていきましょう。

iDeCo (イデコ)NISA (ニーサ)
運用益非課税非課税
運用期間65歳まで制限なし
掛金の所得控除ありなし
元本保証型商品ありなし
資産の引出し/受取原則60歳以上いつでも可能
受取時の税金状況によって異なるなし
加入・移換時初期手数料2,829円なし
口座管理手数料171円~(月額)無料
受取時手数料440円(振込の都度)無料

NISA(ニーサ)と比べて、iDeCo(イデコ)にしかないメリットとは?

税制優遇における所得控除のメリット

iDeCo(イデコ)では掛金(拠出金額)に対して、所得税と住民税控除が受けられます。

NISA(ニーサ)には所得控除の制度はありません。この点は、大きな違いと言えます。

単純化した例として、毎月の掛金が2万円の場合、年間での掛金は合計で24万円になります。所得税(20%)、住民税(10%)を想定した場合は合計で30%のため、年間で7.2万円の税金が軽減されます。なお、所得控除のためには、会社員は年末調整、個人事業主は確定申告が必要なため留意しましょう。

不確実性を伴う将来的な資産運用の成果とは異なり、所得控除が制度上で可能となっている点は、大きな魅力であり利点だと考えられます。控除額を生活費にあてたり、人によってはさらに資産運用にあてることも考えられます。この点が、投資初心者でも、まずは少額からiDeCo(イデコ)を検討されることをおすすめする理由です。

注意が必要な点として、後述する、最終的な受取の方法や金額によって、税金が異なる点です。掛金の所得控除は魅力的ですが、受取時の税金想定額とセットで検討していく必要があります。

まずは税制優遇でメリットをシミュレーション

国民年金基金連合会が運営しているiDeCo公式サイトでは、所得などに応じたシミュレーションが可能です。現在のご自身の状況で、どれくらいの効果があるかをまずは試算してみると良いでしょう。

定期預金や保険などの元本確保型の商品が存在

iDeCo(イデコ)には、定期預金や保険などの元本確保型商品があります。

定期預金や保険は大きな値上がりは期待できませんが、元本を確保したうえで、上述の税制優遇を受けられるのがメリットです。

NISA(ニーサ)には元本確保型の商品はありませんNISA(ニーサ)の商品や、iDeCo(イデコ)の元本確保型については別記事にて解説しますが、NISA(ニーサ)は、つみたて投資枠では債券のみに投資するファンドは制度上の対象外扱いで、成長投資枠でも元本確保型の債権ファンドはありません。ただし、商品ラインナップの違いは一概にNISA(ニーサ)のデメリットではなく、両者では性質や目的が異なるというのが正確です。逆に言えば、NISA(ニーサ)にしかない商品も存在します。

iDeCo (イデコ)のデメリット、おすすめしない人

iDeCo (イデコ)は原則60歳になるまで資産を引き出せない

iDeCo(イデコ)をおすすめしない理由としては、iDeCo(イデコ)は60歳までは引き出しができません。

※50歳を超えてからiDeCoを始める場合は、始めた年齢に応じて、60歳を超えた受給可能年齢が設定されています。

逆に言えば、資産をロックできるので、老後資金を確実に確保したい人向けともいえます。投資の基本原則は長期・積立・分散ですが、資産を引き出すことが出来ない状態にすることで、長期運用をマストにすることは、人によってはむしろメリットととらえることは可能だと考えられます。

長期的に考えられるなら、iDeCo(イデコ)のメリットが活きる

長期的に大きな税制優遇を得たい場合はiDeCo(イデコ)、途中で資金を引き出す可能性がある場合にはNISA(ニーサ)が有利だという見方が可能です

なお、iDeCo(イデコ)の掛金額は、5,000円以上、1,000円単位で自由に設定できますが、掛金拠出の上限限度額が、国民年金の加入状況に応じて定められています。iDeCo(イデコ)では、途中で引き出す必要の無い金額を掛金に設定し、現金やその他資産とのバランスを事前に考えておきましょう。

なお、60歳前でも、iDeCo(イデコ)の加入者等が一定以上の障害状態になった場合や、加入者等が死亡した場合は障害給付金や死亡一時金を受給できます。

iDeCo (イデコ)は受取方によって税金が異なる

iDeCo(イデコ)の受取には、①一時金で受け取る場合、②年金で受け取る場合、③一時金+年金で受け取る場合の3パターンがあります。受取の方法によって、所得の取り扱いやそれに応じた税金が異なるため、注意が必要です。

NISAでは運用益が非課税になり、原則として確定申告も不要です。この点はNISA(ニーサ)のほうがシンプルで分かりやすい利点です。

所得の取り扱い
  • 一時金として一括で受取る場合は、退職所得
    • 退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2
  • 年金として分割して受取る場合は、雑所得
    • 公的年金等の雑所得=収入金額-公的年金等控除額

それぞれの受け取り方の詳細については、別の記事で紹介していきます。

iDeCo (イデコ)は手数料がかかる

加入・移換時初期手数料|

  • iDeCo(イデコ)では加入および企業型年金からの移管時に手数料(2,829円)がかかります。

口座管理手数料

  • iDeCo(イデコ)では口座管理手数料がかかります。金融機関によって異なりますが、運営管理機関への手数料が0円の場合でも、月額237円(171円+66円)で年間2,844円以上が国民年金基金連合会と事務委託先金融機関へ発生します。金融機関の説明によっては、口座管理手数料が0円になっていることがありますが、運営管理機関への手数料が0円という意味なので、注意しましょう。
  • 口座管理手数料が高いのか安いのかは、大きなメリットである所得控除を踏まえて検討すると良いでしょう。例えば月額掛金5,000円(年額60,000円)、所得税・住民税合計30%の場合には、税金の軽減額は18,000円となりますので、年間の口座管理手数料よりもメリットは大きいと言えます。

信託報酬

  • 投資信託で運用する場合の運用管理費用として信託報酬が発生しますが、NISA商品に応じて信託報酬が発生します。

受取時手数料

  • 振込1回につき、440円かかります。

年齢に応じて、加入可否と受給可能年齢が異なる

また、iDeCo(イデコ)へ加入できるのは20歳以上からですが、NISAなら18歳以上から可能です。iDeCo(イデコ)は65歳まで加入できますが、NISAには年齢の上限はありません。ご年齢によっては、iDeCoに加入できない可能性もありますので、その場合はNISAの活用を検討しましょう。

また、50歳を超えてからiDeCoを始める場合は、始めた年齢に応じて、60歳を超えた受給可能年齢が設定されています。

まとめ

NISA(ニーサ)と比較した場合の、iDeCo(イデコ)のメリット・デメリットを見ていきました。

大きなメリットの中でも注目したいのは、所得控除と元本保証型商品の存在です。

ただし、資産の引き出しタイミングが決まっている点、受取方に応じた税金の変動に対しては、検討が必要です。